仕事は「相手との関係を育む時間」 お金を稼ぐより、もっと大切なこと / YUKARI SOUZA さん(音楽講師 ボイストレーナー)

インタビュー

YUKARI SOUZA  (そうざ ゆかり)

1988年1月20日生まれ。愛知県名古屋市出身。
愛知県立芸大声楽科卒。在学中より毎年夏に渡米して修行を経たのち、日本各地でのライブ活動、レコーディングやCM等数々の舞台を経験。2014年、BostonのプロダクションA2CProよりCDデビューすると同時に「ゴスペル、賛美を歌いたい!」という想いが芽生え引退を決意。

引退後、音楽講師として活動を始める。第2・4水曜日に一般クラス、第1・3金曜日にママ向けのゴスペルクラスを開催。クラッシックからポピュラー音楽まで、幅広いジャンルを得意とするボイストレーナーとしても活躍中。歌うことの楽しさを引き出す"歌詞を大切に、心を大切に"したレッスンは定評がある。2019年、Mikotoba Music School を設立。

兵庫県西宮市在住。夫と生後半年の息子の3人家族。牧師の妻として教会に仕えている。

 

こんな人に読んでほしい
■ 好きなことや特技を活かして働きたい
■ 教室を始めたい
■ 子供を職場へ連れて行きたい
■ 出産前後の働き方について考えたい
■ 仕事も家庭もプライベートも大切にしたい

 

――エネルギッシュな笑顔あふれるYUKARIさん。アメリカでの歌手デビュー経験があると聞いて驚きました!

18歳から26歳まで歌手として活動していました。やっとの思いでボストンでCDをリリースするも、同時に感じたプレッシャーに耐えかねて引退しました

歌手を目指し始めた頃から「全米デビューします!」と夢を宣言してきましたが「全米デビューして何をしたかったのか?」というその先がなかったんです。周囲は「おめでとう!」と祝福してくれましたが、その人たちの期待に応えながら歌い続けていく精神力が私にはありませんでした。

心身ともに限界を迎えてしまい、自分自身が第一線で歌うことをやめる決断をしました。

ボストンでの歌手時代

――壮大な夢を叶えてすごい…!YUKARIさんが音楽講師として活動するきっかけは何だったんですか?

知人にレッスンを頼まれ「悩んでる人たちの役に立てるなら…」と始めました。

それまで、あらゆるジャンルの音楽を色んな先生方からご指導いただいていたので知識と経験はありました。実際に講師をしてみて「歌うことを教えるのってこんなに楽しいんだ!」と気付き、今に至ります。

私は、ただ音楽をする、ただ口ずさむ、ただスキルアップする…ということをゴールにしていません。歌詞の理解や表現の仕方、何よりも楽しく歌うことに重点を置いた指導をしています。

――わあ、良いですね! 私は歌うことは好きだけど上手ではなくて…。

レッスンへ参加される方は、必ずしも歌が好きな方ばかりではありません。時にはコンプレックスをお持ちの方もいらっしゃいます。歌うことは自分の体に対する指導でもあるので、苦手意識を持ったまま上達するのはなかなか難しいです…。

なので「まずは自分が楽しむことが一番ですよ」と、いつもお伝えしています。時間を使ってお金を払って、せっかくレッスンに来るんだから、思う存分楽しんでほしい!

レッスンを通じて歌が上手くなっても、声質は変えられないので自分の声を好きになってほしい。もしそれができなくて、歌うことが苦痛だったらやめたっていいと思うんです。

マイナスをゼロにすることより、その人が持っている長所に目を向けて、どんどんプラスを引き上げてあげたい。これは私の育児の方針も一緒です。

――技術的なことよりも「楽しむ」っていうマインドが大切なんですね。どんな時に仕事のやりがいを感じますか?

レッスンでの生徒様の大きな変化を目の当たりにした時や、それを生徒様自身も実感してくださった時です。

格段に上手に歌えるようになっているときは感動しますね。こっちがプレゼントもらったようなうれしい感覚

ゴスペルのレッスンでも「神様のことを全然知らなかったけど、力強い歌詞に励まされた」というお声を聞くと嬉しくなります。

――成長を自分のことのように喜んでくれるYUKARIさんみたいな先生だったら、音楽をもっと好きになれそう!

私は自分の気持ちを歌で表現するのが好きなんです。

歌手時代に辛かったのは、自分の心境に合わない歌を歌わなくてはならなかった時。例えば自分がものすごく落ち込んでいる時に、誰かを励ますような明るい歌が歌えなかった。

ゴスペルはいつ何時も、神様が変わらない愛を私たちに注いでくれる歌なんです。だからどんな心境でも心の底から感情移入して歌うことができます

マタニティ期間を経て 生後間もない子供の育児と仕事との両立

――生後半年の男の子のお母さんでもあるYUKARIさん。出産前後の働き方について教えてもらえますか?

私は逆子で帝王切開だったので出産の日が決まっていました。その2週間前までレッスンをしていましたね。それも「先生、お腹に力も入るし、そろそろやめておいた方が…」という生徒さんからのご提案がお休みをするきっかけでした(笑)

特に「ものすごく働きたい」とか「頑張らなくては」とかのプレッシャーはなくて。産前や産後に関わらず「与えられたことに感謝し、毎日それをこなすのみ」と思っていたので、周囲に心配されてからようやく産休を決めました。

音楽講師を休業してからも、出産前日まで教会の仕事はしていましたよ。

産休前に開催したゴスペル発表会

――YUKARIさんにとって仕事とプライベートの境目はないんですね。産後の仕事と育児はどのように両立していますか?

夫が息子の面倒を見られる間だけレッスンを入れています。ですが「彼だって仕事で疲れているのに、任せてレッスンをしてもいいのかな?」と思うことがありました。

ある時「ごめんね、レッスンに行ってくるね」と出掛けようとしたらなんで謝る必要があるの?」と言われ、はっとしました

申し訳ないと思っていることを伝えたら「そんなことを気にしていたの?」と一言。自分が勝手に悩んでいるだけだったんですね。

仕事の育児の両立で、夫婦間の会話は重要だと実感した瞬間でした。

――素敵なご主人…!!

夫は「できることを、できる時に、できる人がすればいい」という考え方なので、お陰で肩の力が抜けます。

だからこそ私もリラックスして育児に向き合えています。「こうしなくてはいけない」と予定を立てるとしんどくなってしまうので、いっそスケジュールしない

疲れたときは家事もせずに、息子と一緒にお昼寝しちゃうこともあります。夫は全く気にしていません(笑)

――親になると必要以上に責任を感じてしまう時があるんですよね…。もっと肩肘張らずに育児を楽しめる人が増えたらいいな。YUKARIさんはレッスンに息子さんを同伴することがあるそうですが、どんな風にレッスンをしているんですか?

ママ向けのゴスペルクラスは「ぜひ子供と一緒に参加してほしい!」という想いもあり、私も息子を連れて行きます。

息子が泣いて中断してしまっても「お陰で私たちも気を遣わずに、気軽に参加できます」と言ってくださる温かい方ばかり。

途中で誰かの子供が泣き出した時は、休憩を挟みます。参加者の中には子連れでない方もいますが、子供と会えるのを楽しみにしてくれています。

中には「講師が子連れってどういうこと?」って思う方もいるかもしれませんが、周囲の理解があれば、こんな風に働くスタイルもすごく良いと思います!

――子連れでもスムーズにレッスンをするために、何か工夫していることはありますか?

最初はずっと息子を抱っこしながら歌っていましたが、最近は座って待っていてくれるようになり、成長に伴い少しずつスムーズにレッスンができるようになりました。

工夫していることといえば、レッスン開始前に「教室に到着してから、ミルクをあげて、抱っこをする」という一連の決まった流れをすることでしょうか。このルーティーンを挟むことで「ママはお仕事の時間なんだな」と幼い息子でも理解しているように思います。

何より、息子は音楽が好きなので、レッスンを一緒に楽しんでいます!お腹の中からレコーディングにも参加していましたから(笑)

夫婦ユニット『Sing the Cross』 賛美のCD

お金を稼ぐことよりも、家族や友人と過ごす時間を大事にしたい

――YUKARIさんは、いつも大好きな音楽、ご主人、そして息子さんに囲まれて過ごしているんですね。

はい!息子が生まれてきてくれたことには特に心の底から喜びを感じています。家の中に無条件で笑ってくれる、自分のことを見つめてくれる存在があるというのは最高の幸せです。そして、人として成長する機会をいただいています

もちろん大変なこともありますが、育児に関して夫の理解があり感謝しています。私たち家族が上手くいっている秘訣は「夫婦そろってガツガツ仕事をしないことかもしれません。緻密な仕事の計画を立るより、授かった子供を大事にしながら神様に委ねて進んでいく。

お金を稼ぐことよりも、家族や友人と過ごす時間を大事にしています。ボイストレーニングやゴスペルのレッスンは、もはや仕事というよりも「一緒に音楽を楽しむ時間」。私にとっては、相手との関係を育むものなのです

与えられてる目の前の仕事に100%、のめり込んで楽しんで生きていきたい

――YUKARIさんが理想の人生を送るために日々実践していることはありますか?

私はクリスチャンなので「すべてを委ねて歩むこと」でしょうか。毎日主に祈り、主と共に歩むこと以上に日々平安で喜び溢れる人生はないので、これをずっと絶やさないこと。

また、このことを子供にも丁寧に教えていきたいです。

――最後にYUKARIさんから、もっと自分らしく生きたい人へのアドバイスを一言、お願いします!

自分に与えられた才能を『賜物たまもの』と言います。誰にでも必ずあります。

たった一度の人生なんだから、賜物を大切に、恐れず挑戦してみてください!

――YUKARIさんとお話する時間は、なんだか心が洗われます!素敵なインタビューの時間をありがとうございました。

YUKARI SOUZA さんについて、もっと知りたい!
保持資格
  • 高等学校教諭一種免許状(音楽)
  • メンタル心理ミュージックアドバイザー
  • 音楽療法インストラクター
  • 夫婦心理カウンセラー
  • 家族心理カウンセラー
活動実績
  • 2007年ゴスペルチームで韓国ツアー
  • クラッシック生演奏Bar勤務務
  • のだめカンタービレ2006年初演 コーラスで出演
  • よさこいシンガー
  • 渡米中、Village Underground 等のオープンマイク参加
  • LA 3rd Street でのストリートライブ
  • ラジオ番組担当(MID-FM)
  • CM(福工房、ネッツトヨタ他)
  • 仮歌(クラッシック、アニソン、JPOP、R&B)
  • 高校でのミュージカル指導

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