鈴木 靖子 (すずき やすこ)
1989年2月26日生まれ。兵庫県尼崎市出身、西宮市在住。
ヨガインストラクター、タイ古式マッサージセラピスト。
ヨガインストラクター養成学校ヴィオラトリコロールにて全米ヨガアライアンス(RYT200)を取得後、大手ホットヨガスタジオ等でフリーインストラクターとして活動を始める。その後、同スクールにてマタニティヨガ、産後ヨガ、シニアヨガインストラクターの資格をそれぞれ取得。自身の妊娠を機に、公民館で自主開催のヨガクラスをスタート。現在は自宅の一室に場所を移し教室を続ける。出産後半年で教室を再開し、1年経った頃にタイ古式マッサージの資格を取得。
前職は保育士、幼稚園教諭。夫と1歳8か月長男の3人家族。
こんな人に読んでほしい
■ 資格を活かして働きたい
■ 子供を職場へ連れて行きたい
■ 自宅で教室やサロンをしたい
■ 育児と仕事のバランスを調整しながら仕事をしたい
産前から模索していた 子供と一緒にいてもできる仕事
――靖子さんは以前、保育士をされていたんですね。なぜ保育士を辞めて、ヨガインストラクターになろうと思ったんですか?
保育士として数か所の保育所や認定こども園で勤務していました。最初に勤めたのは乳児院・児童養護施設でした。様々な理由があって親と暮らせない子供を預かる施設です。夜勤もあり、住み込みで働く人もいます。
子供が好きで選んだ仕事。一人一人の子供にとって、二人目のお母さんのような気持ちで向き合っていました。
その分、割り切れずに大変な思いをすることもあり「自分に子供が生まれたら、そのときは育児に比重を置きたい」「自分の子供との時間を大切にしたい」と考えるように。保育士は拘束時間が長いこともあり、時間の融通が利く仕事を探していました。

保育士時代の靖子さん
当時、職場の先輩に誘われたのがきっかけで、ヨガ教室に通っていました。運動が苦手な私でも無理なく続けられたので、ヨガインストラクターになろうと決意しました。
お母さんにヨガを伝えたい! 母親の笑顔は子供に巡っていく
――私も運動音痴ですが、ヨガはずっと続けられています!ヨガ好きの共通点なんでしょうか(笑)靖子さんはヨガからどんな効果を感じていましたか?
肩こりなどの仕事の疲れが解消し、継続することによって柔軟性がつくのを感じました。身体だけではなく、心にも変化が。ヨガのポーズを通じて「人と比べないで自分と向き合う」ことを学び気持ちが楽になりました。
そしてヨガ哲学は「育児にも活かせる」と思い「お母さんたちにヨガを伝えたい!」と考えるように。
勤めていた児童養護施設には、自分の子供と上手く向き合うことができない親御さんもいらっしゃいました。子供ができたからといって、誰しもが楽しく育児に取り組めるわけではありません。子育てには精神的な余裕が必要です。
「ありのままの自分を受け入れること」を実践するヨガは、心に余裕を持たせてくれます。育児中のお母さんの支えになると実感しました。
――すごく分かります!私自身も育児中、時間的・精神的に余裕がない時こそ、あえて立ち止まってヨガをすることで救われた経験があるので…。靖子さんには、ヨガインストラクターになる前から、お母さん向けのヨガクラスをしたいという希望があったんですね。
はい。それも、どちらかというと「子供のために」お母さんにヨガをしてほしいという想いが強いです。
お母さんが笑顔でいたら、それは必ず子供に巡っていきますから。
仕事をしながら資格取得 理想の働き方を実現するまで
――素敵…。その通りだと思います。靖子さんが理想の働き方を実現させるまでのプロセスについて教えてください。
仕事をしながらヨガインストラクター養成スクールに通いました。卒業後は保育士を退職し、数か所のヨガスタジオに所属。インストラクターとしてだけではなく、スタジオ運営事務やホームページ管理をしたこともあり、その経験は今に役立っています。
自分でレッスンを主催することにもチャレンジ。母に頼んで、母と同年代の方をターゲットにした『シニアヨガ』の集客を手伝ってもらいました。
――ヨガクラスは立ち上げが一番大変ですよね。受講者がいない訳ですから…。
はい。母がいなくて一人だったら、駅前でチラシを配る勇気はなかったと思います(笑)
私の母は足が悪くて。「母と一緒にヨガをしたい」と思い、シニアヨガインストラクターの資格も取得したので、それを活用するためにも挑戦しました!
――靖子さんは自分でヨガの効果を実感するだけではなく「人に伝えたい」という想いも強いですよね。マタニティヨガインストラクター、産後ヨガインストラクターの資格取得もされていますが、こちらのレッスン開催は考えなかったんですか?
いえ、考えていましたよ。保育士の経験を活かせるし、自分の子供が生まれた時に「一緒にヨガクラスへ連れて行きたい」という想いがあったので。
でもレンタルスペースや公民館では、子連れで参加してもらために安全な環境を充分に整えることが難しく断念しました。
その後、引っ越しをしたのを機に自宅の一室を整えてヨガレッスンレッスンを始めました。念願の子連れクラスもスタートできました!

ヨガスタジオの入り口。子供が遊べるおもちゃがたくさん!
お母さんも子供も楽しめる 憩いの場を目指して
――靖子さんの自宅教室のこだわりは何ですか?
子連れで通えるヨガクラスがメインなので、子育てをするお母さんたちにとって憩いの場となるような教室を心掛けています。
一緒に来てくれる子供たちにとっても、楽しくて安全な場所となるように環境設定に力を入れています。

日差しが入る明るいスタジオ。床はクッション性が高くてふかふか。
子連れで参加できるヨガクラスは2種類設けています。生後2か月の赤ちゃんと一緒に参加できる『ベビーヨガ』と産後半年以降のお母さんを対象とした『ママヨガ』です。
『ベビーヨガ』はお母さんがヨガのポーズをとるのは15分程度くらい。あとは親子で運動遊びや製作をして過ごします。子供たちが場所に慣れてきたら、今度はお母さんがしっかり動ける『ママヨガ』へ段階を踏んで参加できるようにしています。

ベビーヨガのクラス中、パラバルーンで遊ぶ子供たち
試行錯誤の繰り返し 息子と一緒に開催するヨガレッスン
――各所にこだわりを感じる『やすこヨガ』のスタジオはすごく居心地が良いですね。現在仕事をしていて大変だなと感じることはありますか?
息子の生活リズムに合わせてヨガレッスンの時間を考えなくてはならなかったことです。
息子が生後半年になる頃、同伴して行うスタイルでヨガレッスンを再開しました。その時期の子供って成長に合わせて生活リズムがどんどん変わりますよね。
息子の授乳や離乳食などに合わせてレッスン時間を確保するのが難しかったです。
――確かに…。離乳食の回数が変わったり、まだお昼寝の時間も定まらなかったり。どうやって乗り越えましたか?
ここでは保育士時代の知識と経験が活かせました。だいたいの保育園では午前10時から11時半頃までを「活動の時間」としています。子供たちが登園してからお昼ごはんを食べるまでは一番活発に遊ぶことができる時間帯なんです。
そこでヨガレッスンを午前10時スタートに設定。息子にとって活動の時間として定着させ、機嫌良く過ごせるよう午前睡や授乳のタイミングを調整したら徐々に上手くように。
今ではヨガレッスンがあるお陰で、親子そろって毎日心地よい生活リズムで過ごせています!
――前職の経験が活きたんですね!レッスンに息子さんを連れいていくことで何か困ったことはありましたか?
1歳を過ぎた頃からお友達に興味を持ち始め、他の子が遊んでいるおもちゃを取るようになりました。
そのこと自体は成長の証。本来であれば「お友達が使ってるおもちゃだから返そうね」「貸してって言おうね」など、関わり方を伝えてあげたい。でもレッスン中にそんなことをしている余裕も時間もなく、ただ息子をその場から引き離すことしかできないことが悩みでした。
保育士時代の知識や経験から「こうしてあげたほうが良い」と分かっているのに、できないことが息子に申し訳なかったです。せっかくお友達との触れ合いの中で成長できるいい機会なのに、丁寧に関わってあげられない。
結局、解決策は見つかりませんでした。新型コロナウィルスの影響もあり子連れクラスの定員数を減らしたことと、息子が成長してお友達のおもちゃを取る頻度が減ったことで、今ではなんとなく解消しました。
――「子供と一緒に働く」のは限られた人にしかできない素敵なスタイル。でも、それ故の悩みも当然ありますよね…。育児って悩んでいるうちに、気付いたら子供が成長して解決していたってことが意外と多いかも。
そうですね…。一緒に働くスタイルを続けるために、息子に負担をかけないでできる仕事を選ぶように気を付けています。
が、成長に合わせてまた新しい悩みができたり(笑)
――一難去って、また一難。母親になると順応力が養われますよね(笑)靖子さんの仕事に対してご家族の理解はありますか?
はい。私がこんな風に理想の形で働けるのは、主人が応援してくれているお陰です。主人の休みの日に私がイベントの仕事だった時は、息子と一緒に付き添ってくれたこともありました。
平日、どうしても子供を連れていけない研修や勉強会に参加する場合は、実家に預けます。もっと子連れでも学べる場所が増えたらいいな。
第一優先は子供! 自分の中にある軸を大切に
――ご主人やご実家の理解や協力に感謝ですね。靖子さんが今の仕事で好きなところはどこですか?
一番は息子と一緒に働けること!色々な人に出会ったり、色々な経験をしたり…。一人では勇気がいるけれど、息子と二人だからこそ頑張れます!
あとは、レッスンに来てくれる方がヨガでリフレッシュされている姿や、その子ども達の成長が見られること。
マタニティヨガのクラスに通ってくれていた生徒様が、出産後に赤ちゃんを連れて教室に遊びに来てくれることもすごく嬉しいです。
――子連れレッスンやマタニティレッスンを開催する側の醍醐味ですよね。これからの目標はありますか?
最近、新しく資格を取得しました。今後環境を整えて子連れで通えるタイ古式マッサージを始めます!
ヨガでは自分で体を動かしてもらい、タイ古式マッサージでは直接私が手を施すことで、これからも更なるお母さんたちの癒しの場となるように活動を広げていきたいです。

靖子さんの施術は、全身の力がゆるっと抜ける極上の心地良さ…!
あとは児童虐待など育児の悩みや問題を抱えている方へ、ヨガを伝える方法がないか模索しています。これには、市など公の力を借りなくてはいけないかもしれません。
まだまだ先の話ですが…もっともっと勉強をして、いずれは養成学校の講師としてヨガインストラクターを育てる仕事もしたいです。
――靖子さんは熱意があるし、そのための努力や勉強を惜しみませんよね。仕事と家庭の両立で何か気を付けていることはありますか?
まずは家族と過ごす時間を大切に。その上で自分の好きな仕事を続けられたらいいなと思います。
好きな仕事だからこそ、どんどん仕事の予定を入れてしまいがちですが、息子を第一に考えて詰め込みすぎないように気を付けています。
――大切な息子さんとの関わり方について、母親としての靖子さんの理想はありますか?
これまでは、息子と一緒にいる時間を最優先にしてきました。幼いうちは狭く深く親子の信頼関係を培う時期だと考えていたからです。
これからは、少しずつ子供と離れる時間を作ろうと考えています。2~3歳は他の子供と遊んだりご飯を食べたりしながら、集団生活を学ぶのに最適な時期。
今の仕事のスタイルだったら私がずっと近くにいることもできますが、息子にとって最善の方法をいつも選んでいきたい。
現在住んでいる地域は待機児童が多くて保育園に入園するのは現実的ではないので、一時保育の利用を検討しています。
これまでは私の仕事を通じていろんな経験を一緒にしてきましたが、これからは親と離れた集団生活の中で自分の世界を広げてほしいです。
――「第一優先は育児」という軸がはっきりしていますね。靖子さんはどうしてそこまで丁寧に子供と向き合えるんですか?
ただ純粋に、子供が好きなんだと思います。子供と接する時が一番、素の自分でいられます。
大人相手だと言葉を発する前に相手にどう捉えられるか考えすぎてしまうことが時々あるけれど、子供は表裏がなく真っすぐで素直。
子供と接することで私自身も救われています。
――子供と向き合う時間は、靖子さんにとっても癒しのひとときなんですね。では、最後の質問です。靖子さんが家庭や育児を第一に考えながらも、自分の好きな仕事を続ける原動力となっているものは何ですか?
フリーランスになってから、同じように子育てをしながら活動しているお母さんが意外と周囲にたくさんいることに気付きました。そういう人と繋がることができることでしょうか。相談し合ったり、良い情報を教えてもらえたり、プラスになることが多いです。
私は友達づくりが決して得意ではなかったのですが、素敵なお母さんと仲良くなってから以前よりもっとこの仕事が楽しくなりました!
――育児と家事をしながら活動にも打ち込むお母さんの存在は、お互い励みになりますよね。私も靖子さんと出逢えたこと、ヨガ講師仲間が出来たこと、幸せに感じています。このインタビューを受けていただけたことも本当に嬉しい!ありがとうございました。
一日のタイムスケジュール
6:30 | 起床、仕事(SNSのチェックや更新) |
7:00 | 洗濯、朝食準備 |
7:30 | 息子を起こす、朝食 |
8:00 | 掃除、洗濯、レッスン準備 |
10:00 | レッスン |
11:00 | レッスン終了 |
11:45 | 昼食 |
13:00 | 息子のお昼寝、休憩や仕事(HP更新など)、ヨガ練習 |
15:00 | 息子が起きたらおやつ |
16:00 | 夕食準備 |
17:30 | 夕食準備が早く終わればヨガ練習 or 休憩 |
18:00 | 夕食、片付け |
19:30 | 入浴 |
20:45 | 寝かしつけ、仕事(SNS更新、レッスン内容を考える) |
23:00 | 就寝 |
鈴木 靖子 さんについて、もっと知りたい!
保持資格
- 全米ヨガアライアンス(RYT200)
- マタニティヨガインストラクター
- 産後ヨガインストラクター
- シニアヨガインストラクター
- タイ古式マッサージセラピスト
- 保育士
- 幼稚園教諭
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