川口 香織 (かわぐち かおり)
1987年5月8日生まれ。東京都台東区出身、都内在住。
「あなたに似合う服」を分析し、言語化して伝える『理系ファッションアドバイザー』として活躍中。自分で再現できるファッションの提案をしている。
その他、ライターとしても活動中。ブログ『打れ弱いママの徒然日記』を執筆している。
夫と長女5歳、次女3歳の4人家族。
23歳 帰国
23歳 Google Japan 入社
26歳 結婚
27歳 第一子出産
30歳 第二子出産
32歳 Google Japan 退社
32歳 ファッションアドバイザーとして活動開始
33歳 ファッションアドバイザーとして独立
こんな人に読んでほしい
■ 育児と仕事のバランスを調整しながら仕事をしたい
■ 産前と同じように働くことに違和感がある
■ 人を輝かせる仕事をしたい
過去 ~これまで~
理論的なファッション診断で 垢抜けない自分との決別
――理系ファッションアドバイザーとして活躍中の香織ちゃん!まずは、これまでの経歴を教えてください。
高校から大学までイギリスに留学していました。
大学時代は理学部に所属し、大半は白衣を着て実験室で過ごしました。おしゃれとは程遠い生活でした。
卒業後は帰国し、Google Japan (現 Google 合同会社)に就職。
入社試験をイギリスから受けられるようにビデオ面接で対応してくれたのは当時Googleだけでした。
――今でこそオンラインでの面接は一般的になったけれど、10年前は最先端ですよね…!Googleではどんな仕事をしていたんですか?
カスタマーサポートなど一般的な仕事から、ネットに掲載される前の広告審査やYouTubeの使い心地の市場調査など…。
幅広く経験させてもらいました。
研究室へ入り浸る生活から、今度はオフィスに入り浸る生活へ。
六本木のオフィスに毎日通勤し、外見にお金をかけられるようになったものの、どこか垢抜けない自分がいました。
――六本木、都会のど真ん中ですね。香織ちゃんがファッションに興味を持つきっかけは何でしたか?
結婚です!
プロポーズされた時に「式までにキレイになろう」と心に決めました。

ウェディングドレス姿。よく似合っていてとても綺麗…!
メイク教室に通ったり、ファッション診断を受けたり、自分磨きに投資するようになりました。
そのとき受けたファッション診断が、想像よりも理論的で理系の私にぴったりだったんです。
ファッションに再現性を!
――ファッションって『理論』より『センス』ってイメージがあります…。
そうですよね。でも、例えセンスに自信がなくても、理論的にファッションや自分のことを理解すればおしゃれになれるんです!
プロのスタイリストさんに服もコーディネートも全部決めてもらうのではなく、自分に似合うものを知り、自分で選べるようになる。
理系的にはこれを「再現性がある」と言います。
科学論文は、再現性がないと認めてもらえません。
私は「ファッションにおける再現性を創造したい」と思っています!
――かっこいい!!
垢抜ける方法は、雑誌には書いてありません。
一人一人、適したものが違うからです。
個性に合わせたファッションのルールがある。
それを言語化して、再現性を持たせるのが私の役目。
たくさんの科学実験を数こなしてきた私にしかできないことだと思って楽しんでいます。
――『理系』ファッションアドバイザー心強いです!
現在
受け入れられなかったファッション業界の常識
――香織ちゃんはいつから今の仕事を始めましたか?
2019年にGoogleを退職し、ファッションアドバイザーとしての仕事をスタートしました。
最初は所属して活動し、1年後にフリーランスとして独立。
新しい知識を学んだり、素敵なお客様との出逢いがあったり、とても楽しく働いています。
だけど、元々オシャレに自信がない私は、ファッション業界の常識をなかなか受け入れることができず悩みや迷いもありました。
――ファッション業界の常識って、どんなものがあるんですか?
例えば「秋になったら真っ白など明るい色は着ない」とか。
似合っているかどうかや装いを楽しむことよりも、季節感が優先されてしまうことに違和感がありました。
そんな時、ものすごく魅力的な女性と出逢い、私の悩みは吹っ飛びます。
彼女は、服がおしゃれだから素敵に見えるのではない。
いつも外見も内面も自然体でいられるのは「自分自身の魅力を知り、それを愛しているから素敵なんだ」と気付かされたのです。
おしゃれをすることで 自分を好きになってほしい
――なるほど。おしゃれでいるためには、まずは自分を知ることが大切なんですね。
主役は『服』ではなく、装い手『本人』。
だから私は「服を通じて自分を好きになるためのファッションアドバイス」をしたいんです。
――最高です!具体的にはどんな提案をしているんですか?
「あなたはこれが似合うよ」という単純なアドバイスではなく「何が似合うのか」「なぜ似合うのか」「何が似合わないのか」も含めて徹底的に分析してご提案しています。
理学部出身の私。
元来おしゃれには疎いですが、その代わりに息を吸って吐くように自然に『分析』はできます。

仕事で使用する ものすごい数のカラーサンプル
――経験を積んで仕事を究めるほど、データが蓄積されていきますね!
はい!だけど、お客様が似合う服を知ってオシャレになることは、私にとってゴールではありません。
新しい服や着こなし方を通して、お客様が「自分をもっと好きになる」ことを目指しています。
そんなファッションアドバイザーでありたい!
――新しい装いから、新しい自分に気付けたら素敵!
育児と仕事との両立
心身ともに不調になり 優先順位を入れ替える
――2児の母でもある香織ちゃん。出産や育児についても聴かせてください。
次女が2歳になるまでは会社員として仕事を続けていました。
妊娠前は半年に一度、アメリカの本社へ出張していましたが、妊娠中はつわりが酷く、出張はおろか通常勤務もままならなくなりました。
――つわりの辛さは個人差もあるし、経験しないと分からないですよね…。
本当に。それに私の場合は、産前だけではなく産後も大変でした。
長女の育休後に復職した時、日本に居るチームメイトは直属の上司と私のみ。他の同僚は海外在住でした。
アメリカやヨーロッパとビデオ会議をする毎日。時差があるので会議は早朝や夜。
育児との両立は過酷で、心身ともに体調を崩し、医師の指示で休職しました。
ーーグローバル企業ならではの壁ですね…。それからの働き方に何か変化はありましたか?
給料や昇進の優先順位は下がり、「早く帰宅する」が最優先になりました。
同時に「常に成長!」を求められる職場に違和感を覚えるように。
自分の健康と夫婦関係、さらに家事・育児。
全てをこなそうとすると何かが犠牲になると感じました。
第二子の産後 反省を生かして
――一生懸命になればなるほど辛いと思います…。どうやって克服しましたか?
この時の反省を活かして、次女の育休後に復職する時は異動願いを提出しました。
おかげで海外とのビデオ会議がほとんどない部署へ異動できました。
だけど、子供が2人に増えたこともあり、育児が楽になるわけではありません。
共働きなので、夫婦共に時間の捻出に苦労しました。
保育園に追加料金を払って夕飯を食べさせてもらったり、実家の母に助っ人に来てもらったりしました。
――周りの助けを上手く借りるようにしたんですね。
それでも主人が出張に行く時はかなり揉めました。
家事育児が大変になるから、出張に行ってほしくない!
それってイコール「主人の仕事を応援していないのでは…?」と自分を責めたこともあります。
これは時間をかけて主人とじっくり話し合いをすることで解決しました。
――ご主人は香織ちゃんの仕事への理解はありますか?
理解というより「ママも働いているのが当たり前」と思っていてくれています。
私は産後鬱や育児ノイローゼなどで長期間、心身共に病んだ時期がありました。
それがきっかけで「夫婦関係がどうあるべきか」、「父親はどこまで育児・家事をすべきか」などを全て見直しました。
――ライフスタイルや価値観が大きく変わる時期ですよね。立ち止まって見直すの、大事!
母親になって「理想のバランス」を考え直す
出産するまでは「産後も復職してバリバリ働くキャリアウーマンのママ」になる以外、全く考えていませんでした。
けれど身籠ってみて「私にはそんな気力も体力も忍耐力もない」と気付き、受ける仕事数や予定の数を意識的に減らしています。
「体調が悪くなるのを、事前に食い止めるために」です。
それが私自身のためにも、家族のためにもなります。
――自分で調整するのは、簡単なようで意外と難しい。上手くバランスをとれるようになりたいですね。
未来 ~夢・目標~
子どもにとって どんなことも打ち明けられる母親でありたい
――香織ちゃんが母親として意識していることはありますか?
子どもたちが30歳になった時に「私は幸せだ」と言える人に育ってほしいです。
そのためには耳に痛いことも言う。
たとえ嫌われても必要な事は伝える。
いつか「ママ、あの時はありがとう」と言ってくれるのを信じたい。
何か辛いことがあっても打ち明けられる、そんな親でいたいですね。
良妻賢母にはならないつもりです。
「こういう女だったら、俺は楽だな~」という男性達が作った都合の良い女像だと思っています(笑)
本を出版したい
――香織ちゃんのブログに育児のことが書いてあって、いつも共感しながら読んでいます!
自分のダメなママエピソードやファッションなど、徒然なるままに書いています。
実はブログを読んでくれた友人に誘ってもらったのがきっかけでライターの仕事もしています。
いつか本を出版したいです!
――ブログが仕事に繋がるなんて…。本を出版する夢、応援しています!
この世から「普通の人」をなくしたい
――理想のライフスタイルはありますか?
月5日くらいだけ働いて、後はゆったり過ごせるのが理想です。
所作が美しくなるので茶道を習っています。
そのお稽古の回数も増やせたら嬉しいな。
最近、着付けを覚えたので、日常的に着物を着る生活になれたら素敵です。

着付けを練習中!
――大和撫子ですね~!仕事の目標はありますか?
この世から「普通の人」を減らすことです。
個性を大切に生きると「普通の人」はいなくなります。
きっと世の中が、もっと楽しい場所になる。
そのためのアドバイスを、ファッションを通じて、またはファッション以外の方法でもできたらいいな。
もっと自由に自分らしく生きたいあなたへ
――香織ちゃんはいつもまっすぐに生きていますよね。そんな香織ちゃんから、自由に自分らしく生きたいお母さんへ一言をお願いします!
「普通の人」なんていません。
型にハマらなくてもいいんです。
私の場合は、型から外れれば外れるほど幸せになりました。
良妻賢母や理想の母親像も、捨ててOKです。
周囲に押しつぶされないでください。
自分は自分!
――ありがとうございました。香織ちゃんの活躍に、私もいつも刺激をもらっています。これからもお互い型にはまらず、個性的に頑張っていきましょう~!

出逢ったころの私たち
一日のタイムスケジュール
8:00 | 起床 |
9:00 | 保育園に見送り |
9:30 | 仕事(主に自宅作業) |
18:00 | 保育園にお迎え |
19:00 | 夕食 |
20:00 | 洗濯 子どもと畳んだり干したり |
21:00 | 長女のピアノ練習 |
21:30 | 子ども就寝 |
22:00 | まったり休憩タイム or 夫婦でお話タイム |
23:30~24:00 | 就寝 |
コメント